テラめし倶楽部 |
■バトル156 | 観戦者 | ||||||||||||||||||||||||||
「まぐろ丼大盛」 | 2007.12.24・対戦 | ||||||||||||||||||||||||||
鶴亀屋食堂(青森県青森市) | 1,000円 | ||||||||||||||||||||||||||
青森での仕事を無事終え、ホテルへ。荷物を解いた後再び街に繰り出す。街はすっかり夕闇となり、鮮やかなイルミネーションがそこかしこで煌く。 駅前ではサンタクロースが、街行くカップルや家族連れに”メリー クリスマス”と告げていた。 (ふん、何がメリークリスマスだよ!サンタなんていないんだから・・・) 子供の夢を壊しかねないような毒舌を心の中で独り呟く。私の心には、まさにあの曲のフレーズが流れていた。
昼間のバトルはイマイチ期待外れだったので、次なるバトルへの”心深く秘めた想い”を胸に、青森駅へ。これから向かうのは、青森市北東部にある浅虫温泉。東北本線で5駅目で、特急も停車するのだが、特急(1,330円)と普通(320円)で10分ほどしか違わないので、普通電車を選択。 浅虫温泉は今夏の北東北ツーリングの際にも休憩で立寄ったところで、平安時代に慈覚大師が見つけたとされる東北有数の古湯として名高い。ツーリングの際にはここにテラめしスポットがあるなんて全く知らなかったが、掲示板で茄子おじさん殿から情報をいただいた。 20分ほどで、浅虫温泉駅に到着。寒冷地では冬期暖房中なので、電車のドアが半自動になっており、ドアボタンを押して降りる。 青森有数の温泉地の玄関口だが、降りる客は私を含めて数人と極めて寂しい。ホテルを出る前に、お店に電話して今日営業中だということは確認済。道の駅浅虫温泉ゆ〜さ浅虫の駐車場を抜けて、R4へ。お店はこのR4沿いにあるらしく、寒風の吹きすさぶ中トボトボと暗い夜道を歩く。 大きなホテル(秋田屋)の先に、誘蛾灯の如くひと際煌く看板が見えてきた。18時45分、鶴亀屋食堂に到着。駅からは徒歩4分ほどと意外に近かった。 店内に入ると、中はかなり広くテーブルと座敷席で50人以上は楽に入れそう。広い店内に反して先客は4人組だけとチョッと寂しい感じ。その4人組の隣のテーブルに座り、まずはメニューを拝見。 ネット情報では、まぐろ丼が一押しとなっていたが、メニューにはまぐろ丼の表記は全くなし。慌てて壁に貼ってある手書きのお品書きを見渡すと、ありました!まぐろ丼(900円)。良かった〜(笑) だがまぐろ丼は人気メニューなので、日中に売り切れてしまうこともあるらしく、恐る恐る店員の女性に尋ねる。 「すみません、まぐろ丼あ・り・ま・す・か?」 『はい、ありますよ!』 (良かった〜!)朗報に思わず顔がほころぶ。 「では、まぐろ丼大盛お願いします!」 『ウチのまぐろ丼はかなり多いので、普通の方がいいのでは?』 無謀な輩と思ったのか、私以上にガタイが良いご主人と思しき方も 『足りなかったら、追加してやっから、そうしな!』 「でも・・・、そうですか・・・。はい、分かりました。」 お店の方の必死の制止でやむなく大盛を断念。やっぱり”秘めた想いは叶えられそうもないのか・・・” 肩を落とし落胆した私の姿を見て、哀れに思われたのか、 『仕方ないな〜 じゃぁ、特別に大盛作ってやるよ!』 「ありがとうございます!」 一気に元気が回復!(笑) でもご主人たちが制止するのも無理はない。ここのまぐろ丼は普通盛でもまぐろが500〜700gほどもあり、このためまぐろ好きの人でも残す方が多いからなのだ。 ほっとひと安心して店内を観察。隣のテーブルはなにか鍋をしているようで、美味しそうに箸を突付いていた。またメニューにある三天丼(800円)も野菜・えび・いかの天ぷらがのった丼で、かなりのボリュームらしい。 そうこうしていると、3分ほどでまぐろ丼大盛(1,000円)が運ばれてきた。 なんじゃこりゃ〜! 丼の上に「これでもか!」という具合に盛られたマグロ。ご飯はほとんど見えない! しかもこのマグロ、1切がやたら大きく、しかも分厚い。大きいものになると、1切れでも他店のまぐろ丼1人前分に匹敵するほど。通常マグロの1切は何枚と数えてしまうが、これはまさに1個、2個と数えるのが相応しい。おそらくマグロだけの重さでも1s近くはありそうだ。 またご主人の話だと、ご飯を大盛にしてマグロも増量してくれたそうで、これでたった100円アップの1,000円!こんなまぐろ丼、他の店で食べたら、いったい幾ら請求されるだろうか? まずはお新香の皿に、上部のまぐろを避難させる。通常まぐろ丼は上から醤油なりタレをかけたいところだが、この盛り具合ではこぼれてしまうので、しばらくは小皿に醤油を入れて刺身を食べるように付けて食べるしかなさそう。 今日のまぐろはびん長まぐろで、身はピンク色でやや水っぽい感じがするのが特徴。ちなみにびん長は”びんなが”というのが正しいそうだ。私は今までずっと”びんちょう”と呼んでいました。(恥) 傍らにメモ帳を置き、正の字を書いて数を数えながら、食べていく。マグロの塊4個を食べてもまだご飯に辿りつけない。6個目に入ったところで、ようやくご飯とご対面。やっと飯が食える(笑) 最初は快調にマグロを減らしていくが、8個目ぐらいになると幾分飽きてくる。さすがにこうもマグロ、しかも生の刺身ばかり食べていると、単調な味が続くせいかペースダウン。そんな私の心を見透かしたのか、 『ほら、サービスっだ、コレも喰え!』 「えっ?、これ?あ、ありがとうございます。」 『にいちゃんなら、喰えるかと思って・・・』 ご主人が小皿をテーブルに置いてくれる。めばちまぐろの煮物(350円)で、これまた山盛りに盛り付けられている。マグロ丼の味に食傷気味だった私にとって、味が変わるのは大変うれしいのだが、中盤を過ぎた辺りでのこのサービスはちょっと拷問かも?(笑) 煮物をつまみに味が変わったことで、食欲が復活。まぐろ丼は16分で完食する。結局マグロは14個もあった。だがまだ煮物がかなり残っている。せっかくサービスしてくれたんだから、これも食べ終えないと・・・ 隣のテーブルも宴が終わったようで、会計をしていた。 『う〜ん、ひとり1,000円オールでいいや!』 (えっ?、あれで1人1,000円?!) こっそり4人組の方のお1人に尋ねたところ、彼らが食べたのは活タコ1匹まるごとを使ったフルコースらしく、天ぷらや刺身、煮物などと続き、メインはタコ鍋。しかも飲み物も飲んでいる。ひとり1,000円じゃ儲けはおろか、原価も出るかどうか分からない。 煮物を食べながら、ご主人と歓談。佐藤さんというこのご主人、身体は大きくてぶっきらぼうな感じがするが、実に愛情溢れる方。津軽弁丸出しのしゃべり方が余計に温かい人柄を感じさせてくれる。 実はまぐろ丼は今年から始めたそうで、今までキハダマグロやメバチマグロなどと試してきて、晩夏から秋にかけては本マグロ(クロマグロ)を使ったこともあるそうだ。ただ冬になると本マグロの値段が高騰し、キロ3,000円以上にもなってしまうので、この時期はびん長まぐろを出しているとのこと。本マグロより安いとはいえ、この時期のびん長でもキロ1,000円以上はするらしい。 「それなら儲けは全くないですね」と尋ねると、安くていいモノを求める為、朝3時から市場へ仕入れにいったり、漁師仲間から直接買ったりしてやりくりしているとのこと。だが、いずれにしても儲けはほとんど期待できそうにないのは間違いない。ご主人曰く、 『儲けより、お客さんが喜んでくれる姿を見る方が嬉しいんだ!』 まさにご主人の愛情溢れるテラめしで、大満足。 煮物を食べ終え、そろそろ帰りの電車の時刻なので帰ろうかなと思っていると、 『チョッと待ってろ!今持ってくるから』 と言いながらご主人は厨房に消え、数分後再び戻ってきた。 『ほらっ、コレも喰え!』 といってだしてくれたのは、びん長まぐろの天ぷら(300円)。これまた分厚くてデカいまぐろの刺身を揚げた1品だ。 「く、く、・・・ありがとうございます。」(困) やっと煮物を食べ終えたというのに、またまたマグロ!ご主人の愛情攻撃はまだまだ続く。(笑) 塩でいただくことにする。中は外側少しは熱で白くなっているが、内部は鮮やかなピンク色。しかし決してナマではなく、ちゃんと火が通っており、ステーキで例えるならミディアムレアといったところだろうか。味もすごく美味しい! だが既に1sを優に超えるマグロがお腹の中で泳いでいるので、さすがに苦しい。完食に15分もかかってしまう。もう愛情攻撃はこれで終わりですよね?(爆) 結局、予定していた電車は乗り過ごしてしまったが、愛情溢れるマグロづくし料理とご主人の温かい人柄に触れることができ、最高のクリスマス・イブになった! 電車を待つ無人の駅で、思わず口ずさんでいた。 でもさすがに、しばらくはマグロは食べたくないよ〜!(笑) |
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お店DATA | |||||||||||||||||||||||||||
「鶴亀屋食堂」 青森県青森市大字浅虫字蛍谷293-14 017-752-3385 営業時間/8:00〜20:00 定休日/日曜 駐車場/あり |